工藤勇一先生が「民主主義を教室でどう教えるか?」という文章をFacebookにアップされていました。保護者の方も生徒の皆さんもぜひお読みください。一番読んでいただきたいのは学校の先生方です。
「学校」の教室でみんなで何かを決める時、多数決やアンケートで決めていませんか?そして、決まったことはみんなで守ろうね。なんて教えていませんか?これでは民主主義は教えられません。
例えば、日本社会には身体障害や精神障害など、障害がある方々が7%を超えると言われていますが、発達障害やお年寄りの障害などを加えれば10%、20%を超える人たちが何らかの障害があることと推定されます。これだけの人たちがいるにもかかわらず、全体から見れば、やはりマイノリティ(少数派)です。
議会制民主主義というシステム上、国会が最終的に多数決をとることは当然のことですが、もし単純に多数決で一方的に決めるのが当たり前になってしまうのであれば、少数派にとって不利益な社会がつくられていくことは明らかです。
このように政治の話になれば、教員もすぐに理解できることなのに、国の民主主義を成熟させるために最も大事な役割である「学校」という教室の中で、頻繁に多数決が使われていることは、とても残念なことです。
教室の中で行わなければならないことは、話し合いの中で浮き彫りになった意見の対立をまずは全員で構造的に整理すること。A案を取れば誰はOKで、誰はダメなのか、それはなぜなのか、同様にB案ではどうなのか。
そしてもっとも大切なことは、そもそも「全員がOK(誰一人置き去りにしない)」と言える共通の目的や目標を確認しあったり、時には新たに探り当てていくことです。
その上で誰一人置き去りにすることのないC案を全員で見つけ出し合意することが話し合いにおける最終の目指すべき姿です。
「今年の運動会の目標は「団結」です。これを達成するために頑張りましょう。そのために何ができるか学級で話し合いたいと思います。」などと言ってスタートする学級会は、スタート時点から問題があります。なぜなら「団結する」という目標設定そのものがそもそも「全員がOK(誰一人置き去りにしない)」の目標にはなり得ないからです。団結は誰一人置き去りにすることのない望ましい目標の実現に向けて、全員で努力した結果の姿であるべきだと私は思っています。